※この記事は、2021年末にアメリカで妊娠がわかり、2022年にフィラデルフィアで妊娠初診を受けた私自身の体験をもとに、2026年時点の情報を確認してアップデートしたものです。
体験は当時のまま、情報は今の形で書いています。
初診の予約が取れたら、次に来るのは「当日、何をされるんだろう」という不安だと思います。
私もそうでした。
日本の産婦人科なら流れがなんとなく想像できるのに、アメリカでは何もかもが初めて。問診で何を聞かれるのか、診察はどこまでするのか、いくらかかるのか。
予約の電話を乗り切った安心感より、当日への緊張のほうが大きかった気がします。
この記事では、私がペンシルベニア大学病院(Penn Medicine)で受けた初診(11週前後)の一日を、受付から会計まで順番にたどります。「実際はこういう流れだった」と先にイメージできれば、当日の不安はずいぶん軽くなるはずです。
初診の時期について一つだけ。私の場合は11週前後に設定されましたが、これは受診した医療機関の方針で、初診の時期は医療機関・症状・既往歴によって異なります。持病がある方や体調に不安がある方は、もっと早い受診を案内されることもあります。
電話予約のやり方と英語表現は、別の記事に詳しくまとめています。

受診前チェックリスト
当日までに準備しておくと安心なものです。
- 保険証(Member IDがわかるもの)
- ID(パスポートや運転免許証)
- 質問メモ——聞きたいことを日本語と英語の両方で。私はこれに何度も助けられました
- 最終月経の初日——問診で必ず聞かれます
- 飲んでいる薬・サプリのリスト——Prenatal vitaminを飲んでいる場合、それも伝えます
- 伝えたい既往歴・手術歴・アレルギー——英単語を調べてメモしておく
- 家族の病歴のおおまかな把握——遺伝に関する問診票があるため、両親・きょうだい・祖父母あたりまで思い出しておくとスムーズです
- Copay分の支払い手段——金額は保険によります(私の保険では30ドルでした)
受診前——Pre Check-in

Penn Medicineでは「myPennMedicine」という患者ポータル(アプリ)に登録すると、保険情報の登録、予約の確認、検査結果や診療記録の参照がオンラインでできます。私は初診の前に登録しておいて、正解でした。検査結果が出るたびに自分のスマホで確認でき、先生のコメントも読めるのは、その後の妊婦健診を通してずっと心強かったです。
受診前には、Pre Check-in(オンライン事前受付)の案内が届くことがあります。連絡先や保険情報などを事前に確認でき、当日はアプリ上で到着を知らせる「Mobile Arrival」に対応している受診先もあります。実際の手順は、届いた案内に沿って進めてください。
※私が受診した2022年当時は、これに加えてコロナ関連の事前問診やパートナー用のスクリーニングフォームがありましたが、こうしたパンデミック期特有の一律の手順は、現在の標準的な案内には含まれていません。
受付——問診票とCopay
「15分前までに到着してください」とのことだったので、少し早めに着いて、OB-GYN部門の受付へ。
受付で、名前と予約時間を伝えて、Copayの30ドルを支払いました。私の場合、この日の支払いはこれだけでした(Copayの金額は保険によって異なります。事前にオンラインで支払える場合もあります)。
初診なのに書類は少なくて、渡されたのは遺伝に関する問診票が1枚だけ。自分と赤ちゃんの父親について(年齢、これまでの妊娠経過、遺伝性疾患のスクリーニング歴など)と、家族について(ダウン症、染色体異常、神経管閉鎖障害、先天性心疾患、血友病、筋ジストロフィーなどと診断された家族がいるか)を、チェックしていく形式でした。待ち時間に記入できる分量です。
家族の病歴は、その場で思い出そうとすると意外と出てきません。事前にざっと整理しておいてよかったと思った場面でした。

⚫︎35歳以上か、多胎の場合は32歳以上か
⚫︎これまでの妊娠経過で異常を指摘されたか、催奇形性の物質にさらされたか
⚫︎赤ちゃんの父親に遺伝的な問題があったか
⚫︎嚢胞性繊維症、サラセミア、鎌上赤血球貧血症、テイ=サックス病などのスクリーニングで陽性になったことはあるか
⚫︎これまで2回以上の流産や死産の既往があるか
⚫︎赤ちゃんの父親とあなたは血縁関係にあるか
⚫︎赤ちゃんの父親はユダヤ教の先祖がいるか
⚫︎ダウン症の診断された人はいるか
⚫︎知的障害、疑いと診断された人はいるか
⚫︎自閉症と診断された人はいるか
⚫︎染色体異常と診断された人はいるか
⚫︎神経管閉鎖障害(二分脊椎、無脳症など)と診断された人はいるか
⚫︎心臓障害のある人がいるか
⚫︎口唇口蓋裂がある人がいるか
⚫︎血友病、出血性疾患、凝固障害はあるか
⚫︎筋ジストロフィーの人はいるか
⚫︎異常ヘモグロビン症(鎌状赤血球症、サラセミアなど)はあるか
⚫︎先天難聴、早期発症の聴力障害はあったか
⚫︎先天的失明、早期発症の失明はあったか
⚫︎上記に挙げた以外の遺伝的障害があったか
看護師さんとのやり取り——ここで通訳を頼めます
呼ばれて中に入ると、最初に「日本語の通訳を利用しますか?」と聞かれました。利用したいと答えると、iPhoneのような通信機で、音声のみで医療通訳の方につないでくれました。
ここからの流れは、体重測定(服は着たまま)→バイタル測定(血圧・心拍数・SpO2)→看護師さんからの問診→検尿、という順番でした。

問診内容(Ns)
⚫︎妊娠前の体重は?(ポンドで聞かれるので、Lbであらかじめ換算しておくと楽です)
⚫︎最終月経開始日
⚫︎高血圧、糖尿病などの既往があるか、家族歴があるか
⚫︎ドラッグ、アルコール(頻度)、タバコを吸ったことがあるか?
⚫︎性感染症の既往
⚫︎近くに利用できる薬局があるか?など。
医療通訳について、2026年時点の情報を補足します。公的保険などの連邦資金を受けている医療機関では、言語支援を無料で提供することが連邦規則で定められており、患者に費用を負担させてはいけないことになっています。ただ、実際の対応(日本語対応の有無、電話か対面かなど)は施設によるので、予約の電話の時点で「日本語通訳をお願いできますか」「費用はかかりますか」と確認しておくのが確実です。私が受診した医療機関では、無料でした。
Drの問診——通訳を介して
先生の問診からは、通訳の方を介して答えていく形になりました。医療通訳を利用すると、通訳を介している間の沈黙があったり、時々ぎこちなくなりますが、内容をしっかり理解するのに、とても助かりました。
問診内容(Dr)
意外だったのは「猫を飼っていますか?」という質問。トキソプラズマ感染のリスク確認だと、医療者としては頭でわかっていても、自分が聞かれる側になると新鮮でした。
⚫︎既往歴、家族歴、遺伝性疾患の既往があるか、甲状腺疾患の既往があるか?
⚫︎計画的な妊娠か?
⚫︎アレルギーはあるか?
⚫︎手術歴はあるか?
⚫︎うつ病、不安症の既往はあるか?
⚫︎水疱瘡の既往はあるか、ワクチンは受けたことがあるか?
⚫︎薬を何か飲んでいるか(→Prenatal vitaminを服用している場合も答えます)
⚫︎Pap smear(子宮頸がん細胞診)を受けたことはあるか、いつか、その後のフォローはいつと言われたか?
⚫︎輸血をしたことはあるか?
⚫︎もし命に関わることがあったら、輸血をしてもいいか?
⚫︎猫は飼っているか?
⚫︎自身の職業は?夫の職業は?
⚫︎家族で、妊娠中に高血圧や糖尿病になった人はいるか?
⚫︎家族で、がんと診断された人はいるか?
NIPTの説明
Drから、NIPT(新型出生前診断)についての説明がありました。
採血だけで13・18・21トリソミーなどの可能性を調べられるスクリーニング検査です。
2026年時点の位置づけを補足すると、米国の産婦人科学会(ACOG)は、年齢やリスクにかかわらずすべての妊婦さんに出生前スクリーニングの選択肢を提示することを推奨しています。NIPTは9〜10週以降に受けられて、感度・特異度が最も高いスクリーニングとされていますが、あくまでスクリーニングであって確定診断ではないこと、陽性の場合は羊水検査などで確定させる流れになることも、あわせて説明されます。受けるかどうかは本人が選べます。
私は受けることにして、採血は後日、Quest Diagnostics(検査会社のラボ)で行うことになりました。

遺伝子キャリア検査の説明
NIPTとは別に、特定の遺伝性疾患の保因者かどうかを調べるキャリア検査についても説明がありました。検査の対象や項目は、家族歴や施設の方針などによって異なります。私の場合は、問診内容を確認したうえで、追加の検査を強く勧められることはありませんでした。
低用量アスピリンの話
低用量アスピリンについても説明がありました。以下は、2026年時点のガイドラインに沿った内容です。
現在の米国では、妊娠高血圧腎症(preeclampsia)のリスクがある妊婦さんに対して、低用量アスピリン(81mg/日)を妊娠12〜28週の間(16週より前の開始が望ましいとされます)に始めて、出産まで毎日続けることが推奨されています。対象になるのは、妊娠高血圧腎症の既往、多胎、腎疾患、自己免疫疾患、糖尿病、慢性高血圧などのリスク因子がある方です。
私の場合は、明確なリスク因子がなく、担当医からは相談のうえで決められると説明されました。帰国後の診療も考え、私は服用しないことにしました。
低用量アスピリンは、すべての妊婦さんが自己判断で飲むものではありません。必要性や開始時期は、必ず担当医と相談してください。
診察——経腟エコーと子宮頸がん検査

問診が終わると、診察の部屋へ。夫は一旦、別室で待機になりました。上半身はピンクの診察着(前で紐を結ぶタイプ)、下は大きな紙を腰に巻くスタイル。日本のカーテンで仕切られた内診台とはだいぶ雰囲気が違って、少し戸惑いました。
診察の内容は3つでした。
胸の診察——触診と、腋窩リンパ節の確認。妊娠前からの変化も聞かれました。虐待などを受けていないかの確認質問もあり、私が受診した施設では初診の確認項目に含まれていました。
子宮頸がん細胞診(Pap smear)——診察台の横から足置きが出てくるタイプで、日本の検診と同じ要領でした。
経腟エコー——部屋の電気を消して、まず先生が確認したあと、夫も部屋に呼ばれて(私の枕元側につく位置で)、一緒に画面を見せてもらいました。11週前後の赤ちゃんの、頭の位置や手足が動く様子。エコー写真を1枚もらいました。

私が受診した医療機関では、妊娠初期の超音波はこの1回のみ。この写真1枚が初期の記録のすべてなんだな、と思うと、日本の毎回エコーがある健診との違いを実感しました(超音波の回数や健診の間隔は施設や個人の状況によって異なります。少ないから雑、ということではなく、必要な検査を必要なときに行うという考え方のようです)。
診察のあと——予定日、採血、次回の予約
診察後に通訳者の方にお礼を言って、通訳終了になり、待合室へ戻って、Drが今後の予定を教えてくれました。
エコーから推定される、予定日(Due date)を教えてもらい、翌週以降にQuest Diagnosticsで採血をするようにとのことでした(NIPTの採血も含む)
次回は16週ですが、緊急で出血、腹痛などがあった場合は、連絡するようにとのことでした。
紹介状のこと
私の場合、安定してきた時期に日本へ帰国して里帰り出産をする予定だったので、初診の時点でその希望を伝えて、紹介状(Medical record)をお願いしました。日本でいう「安定期」は、英語圏の医療で使われる言葉と完全に同じ意味ではありません。そのため、「安定期に帰ります」と伝えるよりも、帰国予定日や妊娠週数を具体的に伝えたところ、話がスムーズに進み、次回の受診時に用意してもらえることになりました。
帰国を考えている方は、初診の段階で伝えておくと、その後の健診で話が引き継がれてスムーズです。
初診で聞いておくと安心だった質問
通訳の方とつながっているのは問診と診察の間だけだったので、聞きたいことは問診の段階で聞いておくのがおすすめです。私が実際に聞いたもの、聞いておけばよかったと後から思ったものを合わせて、リストにしておきます。
- 次回の受診はいつですか?そのとき何をしますか?
- 緊急のとき(夜間・週末含む)はどこに連絡すればいいですか?
- 出血や腹痛があったら、まず何をすればいいですか?
- 検査結果はいつ、どこで確認できますか?(ポータルの見方も含めて)
- 採血はどこで受けますか?予約は必要ですか?
- 日本へ帰国して出産する予定ですが、紹介状をお願いできますか?
- 費用について、今日の支払い以外に後から請求が来るものはありますか?
- 飲んでいるサプリ(Prenatal vitamin)はこのまま続けていいですか?
- 体重や食事について、気をつけることはありますか?
- 次回までに準備しておくことはありますか?
質問メモを日本語と英語の両方で用意しておくと、緊張していても指をさして確認できます。
おわりに——当時感じたこと
初診を終えて帰り道に感じたのは、「思っていたより、ちゃんと診てもらえた」という安心感でした。
問診は日本より踏み込んだ内容まで丁寧に聞かれ、通訳のおかげで取りこぼしなく答えられて、エコーで赤ちゃんの動く姿も見られた。検査結果はスマホでいつでも見られる。仕組みは違っても、妊婦を診る医療の芯の部分は同じなんだと思いました。
初めての受診は、誰でも緊張します。でも、流れを知っていれば、当日は目の前のことにひとつずつ向き合うだけです。この記事が、待合室に向かうあなたの、小さなお守りになれば嬉しいです。
この記事は2026年7月時点の情報を確認して更新しています。医療機関や保険、妊娠経過によって対応は異なるため、実際の受診時には担当する医療機関へご確認ください。


補足1:医療通訳について
今回は、日本語通訳は利用することはできましたが、前回流産で緊急で夜間に受診した際などには、通訳が繋がらない時もあったので、質問事項などは、日本語と英語の両方で事前に準備していかれることをオススメします。
補足2:Quest Diagnosticsについて
Quest Diagnosticsは、全米にある検査専門機関です。自宅近くの施設で受けることができ、自分の都合の良い日時で予約をとることができます。私の場合は、病院で採血オーダーを印刷してもらい、それを持参して受診しました。現在は、医療機関から電子的に検査オーダーが送られ、ウェブサイトやアプリから希望する日時を予約して受診する施設も多くなっています。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
