アメリカで妊娠がわかったとき、最初のハードルは「英語で病院に電話をかけること」でした。
この記事は、2021年に私がフィラデルフィア近郊で実際に初診の予約電話をかけたときの体験をもとに、2026年時点の情報を確認して書き直したものです。これから電話をかける方が、この記事を開いたまま電話できるように、場面ごとに整理しました。
こんな方に向けて書いています。
⚫︎ 電話で何を聞かれるのか、先に知っておきたい方
⚫︎そのまま使える英語表現を手元に置いておきたい方
1. 2021年、実際に電話したときのこと
私の場合、薬局で購入した市販の妊娠検査薬で陽性を確認したあと、自分で病院に電話をかけて、予約を取りました。アメリカでは、妊娠がわかったら本人が産婦人科(OB/GYN)に直接連絡するのが一般的です。
電話は2段階でした。まず病院の総合案内にかけて、OB/GYN部門の電話番号と住所を教えてもらい、そこにかけ直して予約を取る、という流れです。
全体で20分ほど。
正直、最初の “How can I help you?” の時点で少し身構えました。相手の話すスピードは容赦なく、聞き取れない箇所も何度かありましたが、「予約の電話で聞かれることは、だいたい決まっている」とあとから気づきました。名前、生年月日、保険、既往歴、最終月経日。この順番さえ頭に入っていれば、単語を拾って推測しながらでも、なんとかなります。
電話の最後に “Congratulations!” と言ってもらえたのは、緊張がほどけた分、じんわり嬉しかったのを覚えています。
2. 2021年の記事から修正した点
この記事は2021年の体験をもとにしていますが、その後制度や運用が変わった部分があります。
2026年時点では、以下の内容を反映しています。
⚫︎ コロナ関連の手順はなくなりました
当時は受診前のコロナ問診やマスク着用の案内がありましたが、こうしたパンデミック期特有の手順は、現在は行われていない施設がほとんどです。
⚫︎ 初診の時期は、一律ではありません
私の場合、初診は11週前後に設定されましたが、これは受診した医療機関の方針です。初診の時期は、医療機関・症状・既往歴によって異なります。持病がある方、過去の妊娠で問題があった方、体調に不安がある方は、電話でその旨を伝えると、より早い受診を案内されることがあります。
⚫︎ 健診の進め方は、施設によって異なります
私の場合は初診が11週頃、その後は16週でしたが、現在は医療機関や妊娠経過、持病の有無などによって健診のスケジュールが異なります。
次回の受診日は、その都度確認するようにしましょう。
※2025年にACOG(米国産婦人科学会)は、従来の一律の健診スケジュールではなく、個々の状況に応じた健診を推奨する方針を示しました。
⚫︎ 医療通訳は、無料で利用できる場合があります 公的保険などの連邦資金を受けている医療機関では、無料の言語支援が提供されることになっています。ただし対応状況は施設によるので、予約の電話で「日本語通訳をお願いできるか」「費用はかかるか」を確認しておくと安心です。
3. 産婦人科(OB/GYN)の探し方
産婦人科は英語で OB/GYN と言います。産科(Obstetrics)と婦人科(Gynecology)の略です。
探し方はいくつかあります。
⚫︎ 身近な出産経験者から紹介してもらう(私はこれでした)
実際に通った人の話ほど頼りになる情報はありませんでした。
私の場合、知人の紹介で先生を指名して予約しました。
⚫︎ 保険会社のサイトで検索する
保険会社のウェブサイトには “Find a Doctor” のような検索ページがあり、自分の保険が使える(in-network の)医師や医療機関を探せます。
⚫︎ かかりつけ医(primary care physician)がいれば紹介してもらう
⚫︎ Googleの口コミを参考にする
in-network の確認は最初に
アメリカの保険には HMO・PPO・POS などの種類があり、保険によって受診できる医師や医療機関の範囲が異なります。候補が見つかったら、その施設が自分の保険の in-network(保険の提携内) かどうかを先に確認してください。
保険会社のサイトで調べるか、電話の冒頭で保険名を伝えて “Do you accept this insurance?” と聞けば確認できます。ここを飛ばすと、あとで思わぬ請求につながることがあります。
4. 電話の前に準備するもの
□ 受診したい病院の電話番号(あれば紹介された先生の名前)
□ 保険証——保険会社名、保険の種類(HMO/PPOなど)、Member ID を聞かれます
□ 自分の基本情報——名前、生年月日、住所、ZIPコード、電話番号、メールアドレス
□ 緊急連絡先——私の場合は夫の名前・生年月日・電話番号も聞かれました
□ 最終月経の始まった日——予定日の計算に使われるので、必ず聞かれます。カレンダーで確認しておきましょう
□ 既往歴の英単語——持病や手術歴があれば、英語表現を調べてメモしておくと安心です
□ 受診の都合がよい日——最終月経日をもとに、病院側から候補日が提示されます
□ メモと筆記用具——日時・場所・持ち物を書き取ります
□ SSN(ソーシャルセキュリティナンバー)——持っていれば聞かれることがありますが、なくても予約はできます(答え方は後述)
5. 電話で聞かれやすいこと
私の電話は20分ほどでしたが、内容を整理すると5つの場面に分かれていました。
① 用件の確認——初診の予約か、どの先生を希望するか
② 本人情報の登録——名前、生年月日、住所、電話番号、メールアドレス、緊急連絡先
③ 保険の確認——保険会社名、保険の種類、Member ID。(SSNを聞かれたのはここでした)
④ 妊娠と既往歴について——最終月経日、妊娠検査をしたか、初めての妊娠か、そして既往歴の質問がテンポよく続きます(高血圧、糖尿病、喘息、血栓、心疾患、手術歴など)。私の場合は該当がなかったので、ひたすら “No” と答えていく時間でした
⑤ 予約の確定——候補日時の提示、場所と持ち物の案内
既往歴の質問は専門用語が続くので、いちばん聞き取りが大変でした。ただ、”Any 〜?”(〜はありますか?)という形で並ぶので、病名の単語さえ拾えれば答えられます。
6.実際の電話では、こんな会話でした(2021年当時)
以下は、2021年に私が実際に予約した際のやり取りです。
現在も大きな流れは変わりませんが、施設によって質問内容や順番は異なります。
全体で約20分位の電話でした。
※ 一部聞き取れなかったり、ブロークンになっている部分もありますが、ご了承ください。

Good morning. Thank you for choosing the center. This is (名前). How can I help you?
おはようございます。当病院を選んで頂き、ありがとうございます。こちらは〜です。どうされましたか?

Hi, I’m(自分の名前)
Recently, I got pregnant and I want to make an appointment. Actually, I want to meet Dr~* as I’m specifically referred by her patients .
こんにちは、私は〜です。最近、妊娠をしたので予約を取りたいです。Dr〜の患者から紹介されたので、Dr〜で予約をしたいです。
be referred by〜 〜に紹介される

So you are calling for the first screening of the appointment?
初めての受診の予約を取りたいのですね?

Yes. はい
screening 検診

What’s your last name?
名字はなんですか?

(名字を答える)

First name? 名前は?

(名前を答える)

Date of birth? 生年月日は?

(生年月日を答える)

OK, so you have never been to (病院名) before?
わかりました、今までうちの病院にはかかったことがありませんね?

Never, this is the first time.
はい、今回が初めてです。

OK, right. What insurance do you have?
了解です。どの保険を持っていますか?

保険会社名、HMO or PPO or POS(保険の種類)

OK. I’ll register to make sure. Hold on a second.
登録しますので、少しお待ちください。

For security and insurance purposes, what is your social security? Do you have social security number?
ソーシャルセキュリティは何ですか?ソーシャルセキュリティナンバーは持っていますか?

(ソーシャルセキュリティナンバーを答える)

What’s your address?
住所は?

(住所を答える)

Got it. Just a moment. ZIP code?
ZIP codeは?

(ZIP codeを答える)

Thank you. Telephone number? 電話番号は?

My telephone number is 〜

Thank you, and Email address? Emailアドレスは?

(Emailアドレスを言う)

What’s your preferred language?
お好みの言語はなんですか?

My preferred language is Japanese.
日本語です。

Do you need the translator?
翻訳者が必要ですか?

Does this take cost?
費用はかかりますか?

No いいえ

It would be better for me.
つけてもらいたいです。

OK. Great. You have husband and married right ?
わかりました。あなたは旦那さんがいて、結婚しているのですね?

Exactly. そうです。

Your race is Asian?
人種はアジア人ですか?

Yes はい

One second. Do you have a primary care physician?
かかりつけ医がいますか?

No, I have never seen a doctor in the U.S.
いいえ、アメリカで医者にかかったことがありません

OK. I want to figure out, what is emergency contact? Is it the same as last name?
緊急連絡先は?同じ名字ですか?

Yes same last name.
はい、同じ名字です。

Hold on a second. I’ll check out. What’s your husband’s first name?
あなたの夫の名前は?

(夫の名前を答える)

What’s his phone number?
彼の電話番号は?

(電話番号を答える)

Are you currently working?
今働いていますか?

Not yet. まだです

OK. What is the insurance card number?
保険カードの番号はなんですか?

The ID number is 〜.
保険カードの番号は〜です。

Thank you. Give me a second. I’m checking insurance company for response.
保険会社に確認するので、少し待っていてください。

Take your time はい、ごゆっくり

And then what is his date of birth?
彼の生年月日は?

夫の誕生日を答える

You are fully registered for the first appointment and we will get you set up.
最初の予約のための登録が完全にできましたので、準備していきます。
問診関連

What is the first day last menstrual cycle ?
最終月経が始まった日はいつですか?

It is 日付.

Thank you. Did you do pregnancy test?
妊娠テストをしたんですか?

Yes I did. そうです

OK. And you planned on delivering your child at (病院名)?
うちの病院で分娩をしますか?
deliver 分娩する

Actually. We are currently thinking to go back to Japan after the situation is stabilized. But we want to do the screening between that.
現在、安定期に入った後で日本に帰ることを考えています。その間の検診を受けたいです。

OK. That’s fine, OK! Have you ever been pregnant before?
了解です。これまで妊娠したことはありますか?

No, it’s first time. いいえ、初めてです

OK. Congratulations! おめでとうございます

Thank you. ありがとうございます

(以下、既往歴について)
And do you have history of high blood sugar?
(高血糖の既往はある?)
Any active asthma?
(喘息はある?)
Any seizure disorders?
(発作性疾患はあるか?)
Any blood clots?
(血栓はあるか?)
Any heart disease or strokes?
(心臓疾患や脳卒中はあるか?)
Any transplants?
(臓器移植歴はあるか?)
Do you have inflammatory bowel disease?
(炎症性腸疾患はあるか?)
Sickle cell disease?
(鎌状赤血球症はあるか?)
Lupus or Rheumatoid arthritis?
(自己免疫性疾患、関節リウマチはあるか?)
Any infection of like HIV?
(HIVなどの感染はあるか?)
Any cancer or Dialysis?
(がんや透析はしているか?)
Are you currently taking any mental health medication?
(現在、メンタルヘルスの薬を内服しているか?)
Any surgery?
(手術歴はあるか)

それぞれに対し、ない場合は「No」と答える

All right. Great. Based on menstrual cycle. It has to be ten weeks out. Your first available date is the first February.
周期に基づくと、最初の検診は2月の初めですね。

No problem 大丈夫です

(日付)9:00 or 10:30?

(日付)10:30 is better.
10:30が良いです

OK. (病院の住所確認)
When you come, just bring your ID and your insurance card. Please wear a mask. You can come on.
(病院の住所確認)来院時は、IDと保険カードを持ってきてください。マスクを着用してください。

OK. This time, My screening is at 11 week?
今回、最初の健診は11週ですね?

Right. そうです

I see. OK. Thank you so much.
わかりました、ありがとうございます

Have a nice day 良い1日を

Thanks, you too.
ありがとう、あなたもね。
電話で実際によく使ったフレーズ
2021年に実際に電話をしたときは、会話そのものだけでなく、聞き返したり、スペルを伝えたりする場面でも、いくつかの決まったフレーズを何度も使いました。
今振り返っても、このあたりを手元にメモしておくと安心だと思います。
聞き返したいとき
Sorry, what did you say?
Could you say that again?
少し待ってもらいたいとき
Just a moment.
Give me a second.
名前や住所のスペルを伝えたいとき
電話では、名前や住所、メールアドレスのスペルを確認されることがよくあります。
そんなときは、
Sorry, my pronunciation may not be clear. Z as in zebra.
(聞き取りづらいかもしれません。zebra の Z です。)
のように、「○○ as in △△」という言い方をすると、電話でも伝わりやすくなります。
実際の電話の雰囲気をご紹介しました。
7. 2026年版|そのまま使える英語表現
実際に使った表現を、2026年のいま電話するならこう言う、という自然な形に整えて場面別にまとめました。
電話の最初に
Hi, I just found out I’m pregnant, and I’d like to schedule my first prenatal appointment. (妊娠がわかったので、初診の予約を取りたいです)
先生の指名がある場合:
I was referred by one of Dr. Smith’s patients. Could I make an appointment with her? (スミス先生の患者さんから紹介されました。彼女の予約を取れますか?)
最終月経日を聞かれたら
“When was the first day of your last period?”(最終月経の初日はいつですか?)と聞かれます。
LMP(last menstrual period)という言い方をされることもあります。
The first day of my last period was March 10th. (最終月経の初日は3月10日です)
日付は「月+日」の順で。聞き間違いを防ぐため、私はゆっくり区切って言いました。
医療通訳をお願いしたいとき
Do you offer Japanese interpreter services? I’d like to have an interpreter for my appointment. (日本語の通訳サービスはありますか?受診のときに通訳をお願いしたいです)
費用の確認も一緒に:
Is there any charge for the interpreter? (通訳に費用はかかりますか?)
私が受診した医療機関では無料で、当日は電話回線で通訳の方につないでもらえました。
SSNを聞かれたら
持っている場合は番号を伝えれば大丈夫です。持っていない場合は:
I don’t have a Social Security Number. (ソーシャルセキュリティナンバーは持っていません)
これで問題なく手続きは進みます。SSNは本人確認や保険処理の便宜のために聞かれるもので、予約の必須条件ではありません。
聞き取れなかったとき
私がいちばん使ったのは、実はこれでした。
Sorry, could you say that again?(もう一度言っていただけますか?)
Could you speak a little more slowly, please?(もう少しゆっくり話していただけますか?)
名前や住所のスペルを間違えられたとき:
Let me spell that for you. A as in apple, K as in king… (スペルをお伝えします。appleのA、kingのK……)
「単語 as in 例」の形で伝えると、電話でも確実に通じます。
里帰り出産を考えている場合
私の場合、途中まではアメリカで健診を受けて、日本で出産する予定だったので、その旨を予約の時点で伝えました。
We’re planning to go back to Japan later in my pregnancy, so I’d like to receive prenatal care here until then. (妊娠の途中で日本に帰る予定なので、それまでの健診をこちらで受けたいです)
この段階で伝えておいたことで、その後の健診でも話が引き継がれていて、紹介状の相談もスムーズでした。
8. 電話の最後に確認すること
予約が取れたら、切る前にここを確認しておくと当日慌てません。私は日時と場所をその場で復唱しました。
Just to confirm, my appointment is on February 1st at 10:30, correct? (確認ですが、予約は2月1日の10時30分で合っていますか?)
Where exactly should I go? Which building and floor? (具体的にはどこに行けばいいですか?どの建物の何階ですか?)
What should I bring with me? (何を持っていけばいいですか?)
What time should I arrive? (何時に着けばいいですか?)
私の場合は「IDと保険証を持って、15分前に来てください」とのことでした。施設によっては、受診前にオンラインの事前登録(Pre Check-in)の案内がメールやテキストで届くこともあります。
9. 緊急のときは、予約日を待たない
ひとつだけ、大事なことを。
初診が数週間先に設定されても、出血、強い腹痛、失神、肩の痛みなどの症状がある場合は、予約日を待たずに医療機関へ連絡してください。
予約を取った病院に電話すれば対応を案内してもらえますし、症状が重い場合は救急(ER)の受診も選択肢です。
「予約はまだ先だから」と我慢する必要はまったくありません。
10. まとめ
初めての英語での予約電話は、緊張すると思います。私もしました。でも、聞かれることの流れ——名前、保険、最終月経日、既往歴、予約日——を先に知っておくだけで、ずいぶん落ち着いて話せます。
聞き取れなかったら “Could you say that again?” と何度聞き返しても大丈夫です。
電話の向こうの受付の方は、こういう電話に毎日対応しているプロです。
この記事が、これから電話をかけるどなたかの、手元のメモ代わりになれば嬉しいです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。




