アメリカで出産する?里帰り出産する?経験者が選んだ理由とメリット・デメリット

この記事は、2022年にアメリカ(フィラデルフィア近郊)で妊娠し、里帰り出産を選んだ体験をもとにしています。制度・医学情報は2026年7月時点の内容へ更新しています。当時、私の周囲の経験者から聞いた話も含まれるため、「私の体験」「周囲から聞いた話」「一般情報」を区別して書いています。

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目次

はじめに

アメリカに帯同や駐在で来られて、アメリカで妊娠がわかったとき、多くの方が一度は考えるのではないでしょうか。

このままアメリカで産むか。日本へ里帰りするか。

この記事に正解はなく、ご家庭の事情、仕事、ビザ、頼れる人の有無によって、最適な答えは変わってくると思います。この記事は、私の体験と、当時周囲から聞いた話をもとに、自分はどちらが合いそうかなど、考えるための参考にしていただければと思います。

まず、私が実際に感じた違いを、ざっと並べてみます。

比較する点 アメリカで出産 日本へ里帰り
産後の支え パートナー中心になりやすい 実家の支援を受けやすい
言葉 英語での受診 日本語で相談できる
移動 地域によって車が必要 里帰り先によっては公共交通を使える
無痛分娩 選びやすい傾向 地域・施設による違いがある
父親の育児参加 最初から同居して始めやすい 離れて過ごす期間が生じることがある
費用 保険内容による差が大きい 事前に確認しやすい場合がある

ここから先は、この一つひとつを、私がどう感じ、どのように決めていったかを書いていきます。

私が里帰り出産を選んだ理由

私は、アメリカでの妊婦健診の初診(10週)の時点で、担当医に「安定期に日本へ帰国する予定」と伝えていました。フィラデルフィアには親族がおらず、頼れる人は夫しかいませんでした。

頼れる人が夫しかいないこと、言葉、お金、移動手段——初めての出産を前に重なった不安を全部並べたとき、答えは自然と里帰りでした。

私の場合は、妊娠経過と帰国時期について担当医に相談し、航空会社の条件も確認したうえで、妊娠中期に帰国することにしました。そして2022年7月、フィラデルフィアから日本へ帰国しました。

(この決断に至るまでの経緯は、note に個人的な記録として書いています。記事の最後にリンクを置いています)

アメリカで出産するメリット

里帰りを選んだ私ですが、アメリカで妊婦として過ごした期間に「これは良いな」と感じたことも、たくさんありました。

健診がシンプルで、通院の負担が少ない

私の場合、アメリカで受けた健診は10週と16週の2回で、間隔は6週間ありました。医療機関や妊娠経過によって異なりますが、私が通っていた施設では、日本ほど毎回エコーを行うことはありませんでした。検査結果はすべてオンラインの患者ポータルで確認でき、通院そのものの負担は軽く感じました。

【2026年の情報】
2025年4月、米国産婦人科学会(ACOG)は、一律の健診スケジュールではなく、妊娠リスクや本人の希望、生活状況に応じて、対面診療、オンライン診療、モニタリングなどを組み合わせる考え方を示しました。ただし、実際の健診回数や内容は、妊娠経過や医療機関によって異なります。

無痛分娩を選びやすい環境がある

周囲の経験者からも、無痛分娩を選ぶことへのハードルの低さはよく聞きました。

社会が、妊娠や子連れに対して温かい

これは私自身も日々感じていたことです。スーパーやレストランで、妊婦や子ども連れへの配慮を自然に感じましたし、子どもが泣いていても周囲がおおらかな雰囲気でした。

親子ともに英語環境で生活できる

これは今でも少し羨ましく思うことがあります。子どもは自然と英語に触れられますし、親も日々英語で生活することになります。

私自身、英語にはコンプレックスがありました。だからこそ、「子どもと一緒に親も成長できる環境」というのは、アメリカで子育てをする大きな魅力だったと思います。

日本では得られない経験や価値観に触れられることも、海外で子育てをする良さの一つではないでしょうか。

米国で生まれた子どもには、原則として出生地主義が適用される

米国で出生し、米国の管轄に服する子どもは、原則として出生時から米国市民となります。移民制度は変更される可能性があるため、出産を検討する時点で公的機関の最新情報をご確認ください。

夫が最初から育児に参加できる

私の周囲でも、出産直後から夫婦で育児を始めたという話をよく聞きました。日本のように「里帰りするから父親は後から合流」という形ではなく、最初から家族3人で生活をスタートできることは、大きな魅力だと感じました。

保険の内容によっては、検査や出産の費用が抑えられることもある

これは加入している保険や医療機関によって大きく異なるため、一概には言えません。私の場合は、NIPT(新型出生前診断)を加入していた保険の範囲内で受けることができました。ご自身の保険での費用の見込みは、保険会社と医療機関の両方に確認しておくのが安心です。

アメリカで出産するデメリット

産後の入院期間が短い

周囲の経験者からは、産後翌日に退院し、退院後翌日に外来受診に来るように言われた、という話も聞きました。産後の回復には個人差が大きく、退院が早い分、パートナーや周囲の協力がより重要になります。

医療費が読みにくい

出産費用が最終的にどこまでかかるのか、事前には見通しが立てにくいこと。私にとっては、これが一番の心配事でした。だからこそ、日本で出産することを選びました。

出産後にお子さんがNICUに1ヶ月以上入院し、新生児医療を受けることになった方の話も聞いています。金額は保険や状況によるため断定はできませんが、「想定外に備えにくい」こと自体が心理的な負担になり得ます。

近くに家族がいない場合、夫しか頼れる人がいない

アメリカで産後を過ごした方からは、家族のサポートが得られない、もしくは夫が仕事を長く休めない場合は厳しい、という経験談も聞きました。日本からご家族がサポートに来てくれたという方もいました。

日本で里帰り出産するメリット

今振り返ると、里帰りして本当によかったと思う理由があります。

私は出産の際、会陰裂傷が3度と重度で、産後は座るのもつらい状態でした。
産後は、体の痛みと睡眠不足が重なり、想像していた以上に心身の余裕がなくなりました。
そんな中、母が食事や家事をほとんど引き受けてくれたことで、私は赤ちゃんのお世話と、自分の体を回復させることだけに集中できました。

この体験も踏まえて、里帰りして良かったと感じたことを挙げます。

実家のサポートが得られる

出産後も家事や食事を気にせず、自分と赤ちゃんのことだけを考えられたことは、本当にありがたかったです。

母国語で相談できる

日本語で相談できる。ただそれだけのことが、妊娠中は想像以上に大きな支えになりました。体調の変化や不安を、細かいニュアンスまで自分の言葉で伝えられるからです。

エコーで赤ちゃんの様子を確認する機会が多かった

アメリカで受けた健診との違いを感じた点の一つでした。ただし、エコーの回数や診察内容は、産院や妊娠経過によって異なります。

産後の入院期間が長く、ゆっくり体を休められる

私も産後、数日間入院して、ゆっくり体を休めることができました。授乳、沐浴、赤ちゃんのケアなどの指導を助産師や看護師から受けられるのも、この期間ならではです。

食事の負担が少なかった

入院中の病院食

アメリカでは、普段ほとんど自炊をしていました。日本へ帰ってからは、お惣菜を気軽に買えたり、宅配スーパーを利用できたりと、「食事を作らなくても何とかなる」という安心感がありました。

出産後は睡眠不足が続きます。そんな中で、和食を手軽に食べられたことや、母が食事を作ってくれたことは、本当に助かりました。入院中の病院食がおいしかったことも、産後の体には嬉しいことでした。

赤ちゃん用品を選びやすかった

ベビー用品は日本製を使いたいと思っていました。実際、海外在住の方が一時帰国の際に赤ちゃん用の爪切りや日用品をまとめて購入するという話もよく聞きます。私自身も、日本で必要なものを安心して揃えられたことは良かったと感じています。

私の里帰り先では、一人でも移動や通院がしやすかった

アメリカでは車を運転できなかったため、公共交通機関などを使って一人でも受診しやすい環境は助かりました。

日本で里帰り出産するデメリット

夫婦が離れて過ごす期間が生まれる可能性がある

里帰り出産では、仕事や滞在期間の都合により、夫が出産に立ち会えなかったり、産後早い時期に離れて暮らしたりする可能性があります。

私の場合は、夫が出産後しばらく日本に滞在し、ミルクをあげたり、沐浴をしたりしながら、一緒に育児をしてくれました。その後は夫がアメリカへ戻り、日本とアメリカで離れて過ごす期間がありました。

健診の頻度が高く、受診時間も長い

アメリカのシンプルな健診に慣れたあとだと、この違いは特に感じやすいかもしれません。

無痛分娩を希望する場合、施設選びに注意が必要

日本でも無痛分娩を行う施設は増えていますが、地域差があります。

【2026年の情報】
日本産婦人科医会が2025年に公表した資料では、2024年の調査結果として、無痛分娩の割合は13.8%と報告されています(2018年の調査では5.2%)。
一方で、実施状況や対応時間、予約方法には、地域や施設による違いがあります。
東京都では、一定の要件を満たす方を対象に、2025年10月から無痛分娩費用を最大10万円助成しています(対象医療機関での出産、都内での住民登録などの条件があります)。
里帰り先で無痛分娩を希望する場合は、対応施設、予約時期、24時間対応か計画分娩のみか、助成の対象条件を早めに確認しておくと安心です。

私が感じた「向いている人」の違い

どちらが正しい、ではなく、何を重視するかの違いだと感じています。

アメリカでの出産が合いそうな方は、夫婦で最初から育児をしたい方、無痛分娩を自然な選択肢として選びたい方、そして産後にパートナーがしっかり時間を取れる見込みがある方です。逆に言えば、産後の早い退院を夫婦だけで乗り切る体制が組めるかどうかが、いちばんの分かれ目だと思います。

里帰り出産が合いそうな方は、実家のサポートを受けながら産後を過ごしたい方、母国語で細かい不安まで相談できる環境を優先したい方、そして日本での健診や産後ケアを心強く感じる方です。代わりに、夫が育児の始まりに立ち会えない期間をどう埋めるかを、夫婦で話し合っておく必要があります。

まとめ

アメリカで産むか、日本へ帰るか。今の私は、「あのとき里帰りを選んでよかった」と思っています。でも、それは日本だから正解だった、という意味ではありません。

大切なのは、自分たち家族に合うのはどちらかを考えることだと思います。この記事が、そのための材料になれば嬉しいです。

里帰りを選んだ場合の具体的な準備(紹介状、産院探し、母子手帳)については、こちらの記事にまとめています。


この記事では、比較の材料として書きましたが、実際に私がどう迷って里帰りを決めたのか、帰国してからの産後がどうだったのかは、note に個人的な記録として書いています。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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